※この記事は以前『UPSTORY』というメディアで2018年4月に公開されていたものです。『UPSTORY』終了に伴い、こちらに転載しました。
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アフィリエイター“パシさん”から「面白い人がいる」と紹介されて会ってみたら面白かった
大柴:パシさんをぜひ取材したいなーと前から思ってて、ずっとお願いしてたんですが、パシさんから「長野で美容室を経営している北原さんという方がいて、その人の方が面白いので紹介したい」と言われて先日北原さんに初めてお会いさせていただきました。
パシ:僕は全然面白くないんで(笑)。北原さんの方が面白いですからね。
大柴:パシさんはアフィリエイター界のレジェンドなので、パシさんの事を知りたい人はいっぱいいますよ(笑)。ヤナティさんとパシさんとで飲んだ時も、ヤナティさんからも「出なよ」って言われてたじゃないですかー。
パシ:話す事も無いし、顔出しもしたくないんでね。
大柴:顔は隠して公開するんで安心してください(笑)。
そんなわけでパシさんから北原さんを紹介されたわけですが、以前からTwitterやパシさんのブログで北原さんの存在は知っていました。なんか凄い人なんだろうなーってくらいの認識でしたが(笑)。
北原:ありがとうございます!
大柴:パシさんと北原さんの繋がりっていつ頃からなんですか?
パシ:いつ頃だっけ?きっかけはTwitterじゃないかな。
北原:そうですね。Twitterでは前々からフォローさせていただいていました。絡ませていただいたきっかけはパシさんのブログです。パシさんがブログで私が運営していたサイトを紹介していただいたのがきっかけです。
パシ:あー、ありましたね。
大柴:パシさんの「凄いなと思ったアフィリエイトサイト7選」という記事ですね。2014年8月に公開していますね。
北原:はい。その記事で紹介していただいた「トニー北原の酵素ダイエット」というサイトを当時運営しておりまして。パシさんと言えばアフィリエイター界隈では神のような存在ですので、まさか自分のサイトが紹介されるなんて夢のようでした。
大柴:パシさんはなぜ北原さんのサイトを取り上げたんですか?
パシ:記事を書くにあたって「あまり有名ではない」「キャラが立ってる」「サイトが長く続きそう」というポイントでサイトを選んだんですよ。『トニー北原の酵素ダイエット』はその条件を満たしていた。
大柴:確かにキャラは立ってますよね。「長く続きそう」ってのは重要だったんですか?
パシ:当時ってアフィリエイトサイトって作り捨てみたいのが多くて。それだと紹介してもしょうがないので。キャラが立っていて、作り込んでいた北原さんのサイトは良かった。たぶんTwitterで流れてきてサイトを見て「これは良さそうだ」と思ったんでしょうね。その頃「トニー北原」はアフィリエイト界隈でちょっと話題になってましたね。
大柴:なるほどなるほど。
北原:いや、ほんとに有り難いです。
“美容師→専業アフィリエイター→美容室経営”異色キャリアの北原さんの学生時代は「友達の作り方を忘れ、ゲームばかりしていた」
大柴:北原さんは現在アフィリエイターではなく美容室の経営をなさっています。アフィリエイターから他の職業に転身される方はいますが、美容室の経営という転身は聞いたことがありません。
北原:そうですね。そもそもアフィリエイトをやる前は、美容師として地元長野の美容室で働いていました。キャリアとしては、美容師→専業アフィリエイター→美容室経営という流れです。
大柴:美容師さんがなぜ専業アフィリエイターになったのか?からまずは伺いたいと思います。あ、その前にそもそも美容師になられた経緯からの方がいいかな。子供の頃はどういう子供だったのか?をお聞かせ頂けますか?
北原:はい。親の仕事の都合上、引越しが多く、転校することが多かったんです。そのたびに学校が変わり、友達を作っても別れを繰り返していくうちに周囲とはあまりコミュニケーションを取らないですごしていました。そのうち友達の作り方も忘れてしまいました。
大柴:なるほど。
北原:次第にクラスメイトから無視をされたり、イタズラ書きをされたり、いわゆる「イジメ」を受けるようになったんです。成績も良くないし、運動も得意ではない。それに太ってったんですよ。小中学時代が終わり、高校に進学しましたが、相変わらず友達は作らず、家でゲームばかりするようになったんです。オンラインゲームにハマりまして。
大柴:そうなんですね。けっこうゲームはされていたんですか?
北原:その頃はずっとゲームしていました。学校が終わると急いで帰宅し、朝までゲームをするという生活をしてました。ゲームの中では友達もできたし、居心地の良い空間がありました。現実世界とは違って。
大柴:そんなゲームに明け暮れる高校生がなぜ美容師になったのか?いまのところ、その兆しすら感じません(笑)。
北原:その頃に少しオシャレに目覚めたんです。でも先ほどお話したように太ってまして。80キロくらいあったのかな。太っていたので何を着てもオシャレに見えないので、まずはオシャレをする前にまずは痩せようと思い、ダイエットを始めたんです。ゲームの時間を減らして、運動して、結果2ヵ月で20キロ痩せたんですよ。何かをやって、成果を出すという経験をし、「やればできる」という自信が出てきました。そういう体験は初めてだったと思います。
大柴:なるほどですね。オシャレの流れで髪にも興味を持たれたのですか?
北原:そうですね。あるとき髪を切るために親からお金をもらったんですが、「自分でも切れるんじゃないか?」と思ってやってみたんです。子供の頃に親が僕達の髪を切るためのハサミがあったので、そのハサミで。けっこう楽しかったんですよ。当時「カリスマ美容師」ブームでもあったので、美容師になろうと決めて、専門学校に進学することにしました。そもそも勉強をしたくなかったので、消去法の選択肢でもありましたが…。
美容室に就職するもゲーム三昧の日々に社長が叱咤「お前、何しに来たんだよ?」
大柴:理美容専門学校に通われていた頃はゲームはもう辞めていたんですか?
北原:いや、全然やっていました。専門学校に行ったはいいのですが、あまりそこでも勉強はせず、ゲームばかりやっていました。就職にあたっては、地元の美容室に就職できたんですが、就職してからも生活はそのままで。
大柴:美容師さんって営業時間後にみんな遅くまで練習しているイメージがありますが。
北原:周囲はそうでした。でも僕は営業が終わったらすぐに家に帰りゲーム。そんな僕に美容室の社長が「お前、何しに来たんだよ?」と言ったんです。それで僕も我に返りました。それからは毎日5〜6時間は練習しました。その結果、通常は2〜5年くらいかかるスタイリスト職に入店1年でなることができました。さらにその翌年には店長を任せてもらうようになり、順調にステップアップしていったんです。
大柴:これまでのダメな感じから一転、いきなり上昇ですね。
北原:そうですね。「修行」は厳しかったのですが、社長や店長、先輩など教えてくれるんですよ。学校のような不条理なイジメが無い環境が良かったです。
店長を任され、月100人の新規顧客を獲得するも給料には反映されず、アフィリエイトを開始
大柴:入社から2年半のスピード出世で店長を任されることになったわけですが、美容師として順風満帆のように感じますが。
北原:そうですね。ただ店長になってからも収入面では低いままでした。そのためにまずは店舗の売上を上げるために、お店の新規顧客を増やそうと思って、集客目的のブログを開設しました。集客するためにいろいろと勉強し、マーケティングを続けた結果、月に100人の新規のお客様をお店に呼ぶことに成功したんです。
大柴:すごい!
北原:でも給料には反映されないんですよね…(笑)。
大柴:なるほど。
北原:それでアフィリエイトを始めたんです。生活も苦しかったので…。
片っ端からアフィリエイト関連の書籍を購入し、高額なセミナーなどに参加して知識を吸収していったんですが、いかんせん成果に出てこない。
アフィリエイトの勉強をしながらももちろん日中は美容室での仕事をやっていました。そちらも当然疎かにしてはいけないので頑張りました。そんな生活だったため、肉体的にも精神的にも疲れてきてました。
大柴:美容室の仕事だけでも大変ですからね。
北原:いろんなアフィリエイトの手法を試して上手くいかなかったんですが、そんな中でアドセンスのことを知りました。アドセンスを利用したアフィリエイトの方法を知り、早速試してみたところ、すぐに成果が発生したんです。百数十円の成果でしたが、これまで何をやっても成果が出なかったのですごく嬉しかったんです。
大柴:なるほどー。わかります。
北原:しばらく一人でアドセンスサイトを運営していたのですが、「これはいける」と勝機を見いだしたので、生産ラインを構築し、サイト制作の量産体制を構築しました。具体的に言うと、50名のライターと契約して、記事制作をする仕組みです。
大柴:そこがすごいなーと。何となくアフィリエイターって一人で黙々とやるイメージがあるんですが、規模がそれほど大きくなる前に仕組みを構築して攻めるって発想はなかなかできないんじゃないかなと。
パシ:そこはやっぱりすごいですよね。
大柴:そうですよね。
北原:ありがとうございます。50名体制の生産ラインを構築したあと半年くらいそれを続けたんです。それと同時にノウハウを情報商材として販売しました。ニーズが多かったので、商材としてまとめて販売したんです。それも売れて、結構な収入になりました。
大柴:すごい。
美容室業界全体の抱える問題を解決するために11年務めた美容室を退職し独立も…
北原:アフィリエイトで成果が出てきてる間も美容室には勤務し続けていて、昇進もしたりしたんですが、美容室業界全体の抱える問題を解決したいという気持ちもあって、11年勤めた美容室を辞めたんです。それが2014年1月です。
大柴:美容室業界全体の問題とは?
北原:美容室の業界というのは一般的に「安定した生活を送れない」んです。環境が整っている美容室ももちろんありますが、ごく一部の限られた美容室だけです。多くの美容師さんは不安定な生活を続けていますし、不安定な生活を続けるのが難しくなって、やむなく業界を去っていく人もとても多いんです。美容師という仕事は素晴らしい仕事だと思っているのですが、未発達、未整備な部分が多い。それらを解消できる環境を自分で作りたいなと思って独立しました。勤めていた美容室、社長や先輩などが嫌だったというわけではなく、自分の理想を実現するために独立しました。またその決断に踏み切れるだけのスキルをアフィリエイトで得ることができたので。
大柴:長年勤めていた美容室を辞めて独立なさったわけですが、専業アフィリエイターになるために独立されたわけではないんですね。
北原:そうですね。アフィリエイト事業を軸に、美容室経営もしていくという計画で独立しました。理想の環境を持った美容室を作りたいとは最初から思っていましたが、まずはアフィリエイト事業の安定に主眼を置いてました。
大柴:理想の美容室環境については北原さんのサイトにも書かれていますね。
・週休2日 ・7時には帰宅できる環境 ・休みはしっかりと休める環境 ・旅行も行きたい時にいける環境 ・出産した女性美容師が子供を育てながら働ける環境 ・「美容師だからしょうがない」がない環境
北原:はい。とは言えいざ独立すると少しダラけてしまったんです。朝早く出勤する必要も無いですし、夜遅くまで残業する必要も無い。そして美容室時代から運営していたサイトは月に150万円くらい売上があった。ダラけますよね(笑)。しばらく(週刊少年)ジャンプばかり読んでました。
大柴:えー(笑)。
北原:近くのコンビニにトラックがジャンプを配送してくるのを待っていて、配送された瞬間に貰うっていう時期もありました(笑)。しばらくそんな生活に甘んじてしまっていましたが、「これじゃダメだ」と会社を設立しました。会社設立はもう少し先でもいいかなと思っていたのですが、生活リズムを取り戻すために登記しました。それが2014年4月です。
パンツ一丁でキリンのお面をかぶってサイトに登場する「作り込んだ」サイトを作成
北原:独立する前から「作り込んだ」サイトに興味が出てきて、いくつか作成していました。これまでの量産スタイルから一個のサイトを作り込むスタイルへのチャレンジをしていました。ただあまり上手くいってなかったんですよ。
大柴:なるほど。
北原:そんな中、一つのすごいサイトを見つけまして。『ゼニエモン』というサイトを運営しているひでさんが『ゼニエモン』以外にやっていた育毛系のサイトで。そのサイトにはなんか謎の外国人キャラクターがいたんです。インパクトもすごいし、コンテンツも面白い。「このサイトを運営したい!更新したい!」って思ったんですよ。
大柴:そんなサイトがあったんですね。
北原:はい。一体どんな人が運営しているんだろうとすごい興味があったので問合せから連絡してみたんです。普通に連絡しても会ってくれないかもしれないと思ったので、一計を案じ、女性を装った文体で連絡してみました(笑)。
大柴:(笑)。で、どうでした?
北原:「釣れ」ました(笑)。まぁ普通に会ってくれて、いろいろお話を伺うことができました。そしてひでさんの育毛サイトに影響を受けて作ったのが『トニー北原の酵素ダイエット大作戦』です。
大柴:冒頭にお聞きした、パシさんが紹介したサイトですね。
北原:はい。やはりこれまでのサイトと違ってオリジナリティを出すことができましたし、「僕のサイト」って言っても良いクオリティに仕上がったと思います。実際にこのサイトのおかげでパシさんとも知り合うことができましたし、僕にとって重要なサイトになりました。パンツ一丁でキリンのお面かぶったかいがありました(笑)。
ただ収益性は思ったほど上がらなかったのが正直なところです。
大柴:そうなんですか?
北原:はい。内輪では盛り上がるんですが、ユーザーにはなかなか届かない。アフィリエイト界隈で盛り上がったところでしょうがないですからね。その頃ひでさんから連絡があったんです。「育毛のサイトやってわかったことがある」と。僕が「何ですか?」と聞いたら、ひでさんは「やっぱりふざけちゃダメだな」って(笑)。
大柴:そんな(笑)。
アフィリエイト事業から美容室経営に本格的にピボットし、美容室「Dears」1号店を開業
北原:収益もそんなに上がらなかったんですが、アフィリエイトに対しての熱量が下がっていた時期でもありました。他社の商品を取扱うことに対して熱量が上がりにくくなっていました。でもその時期に「オリジナルの酵素ドリンクを販売しないか?」というお話も頂いていたんですよ。
大柴:いいじゃないですか。
北原:ただオリジナル商品を作るとなるとこれからしばらくアフィリエイトを集中して取り組んでいかなければならなですし、そうなると美容室を作る目標がかなり先になってしまう。そして考えた結果、美容室を作る方を選びました。そして2015年5月に地元長野県長野市に最初の美容室「Dears」をオープンさせました。
大柴:おー、ついに!
北原:はい。予定より少し時間がかかってしまいましたが、何とかオープンすることができました。最初はスタッフもいないので自分でハサミを持ちました。その後、スタッフも入社し、最初のオープンから約1年後の2016年4月にDears2号店をオープンしました。2号店の準備をしながらも3号店、4号店の物件を探していました。2号店オープンから半年後には経営に専念するために僕はハサミを置きました。
大柴:スタッフの皆さんが成長したんですね。
北原:はい、すごく成長してくれました。それにマニュアルの精度も高まってきたので、ここからは全国展開に向けて経営に専念しようと思ったんです。
「Dears」の全国展開を決断! 3年以内に全ての都道府県への出店を目標に定めるも、驚異的な出店スピードで拡大し、大幅前倒し達成の見込み
大柴:全国展開の目標は開業当初からあったのですか?
北原:最初からあったというわけではなく、美容室を実際に運営していく中で見つけた目標になります。詳しくは以前書いたブログ記事をご覧頂ければと思うのですが、既存のお客様が引越しなされた時に、全国どこにでもDearsがあると安心だろうなと思うようになりました。また全国の悩める美容師を救いたいという気持ちも湧いてきました。そこで「全国展開」を目標に定めました。
大柴:それが2017年8月のことですね。その時点では何店舗あったのですか?
北原:出店とフランチャイズ確定を合わせると9店舗です。
大柴:それから7ヶ月過ぎたところですが、現在は?
北原:現在は39店舗です。
大柴:やば(笑)。7ヶ月で30店舗増えたんですか?
北原:はい!まだ47都道府県の半分くらいしかカバーできてないのですが、当初の目標である「3年以内に全国展開」を大幅に前倒しで実現するように頑張っています。
大柴:やばいっすよね、このスピード感。そのスピードを可能にしてるのが「仕組み化」だと思ってるんですよ。先日初めて北原さんのお話を伺った時に「仕組み化する力がすごい」って思ったんですよ。僕に一番足りない力が「仕組み化」だなぁと悩んでた時期で、そんな時に北原さんの話を聞いて「やべーな」と思いました(笑)。
北原:全国展開は基本的にフランチャイズでやってるんですが、クオリティやマネジメントのコントロールは基本的に僕が一人でやっています。スタッフに数値面では「次回予約」だけを話すようにしていて、僕もその数値だけを基本はチェックしています。
大柴:いろんな会社でも「KPIは?」と聞くと無数に数値が発表されたりして、「それってKPIじゃなくて全部の数値なのでは?」と思うことがあります。北原さんは「次回予約」のみをKPIにして、チェックしてされているので、この急拡大にも耐えうるんだなぁと。ここでさらに詳しいノウハウなんかも伺いたいんですが、その辺は北原さんのセミナーなどで勉強してもらうとして(笑)。
北原孝彦(きたはら たかひこ) @kitahara64
美容室のマネージャーという経歴をもちながら「トニー北原.com」メディアを運営。『思い描いた未来を具現化する』をモットーに美容サロン「Dears(ディアーズ)」を地元長野にて2015年に開業、翌年には2店舗目を展開。立ち上げる美容室は「全室個室」「店長を作らない個が責任者」「全員女性スタイリスト」「仕事が終わったスタッフから帰宅」「週休3日制」など独自の考えを元にリピート率90%以上、離職0、入社希望のスタッフが順番待ちになる状態を作る。アフィリエイトで培ったスキルとリアル店舗を融合させた独自のweb戦略とでお客様が集まる空間をカタチに、入社したスタイリストは6ヵ月で予約が1ヶ月先まで埋まるプレイヤーに成長する。自身も独立から1年7ヶ月でハサミを置き完全経営者にシフト、スタッフに常に新しい未来とステージを提供し続ける。現在ディアーズは35店舗まで拡大。将来の夢は若者に勇気と笑いを与え「失敗してもいい」を伝えられる講演家。
・美容サロン「Dears(ディアーズ)」
・北原孝彦の公式ホームページ